スクリーン印刷で、限りなく「特色」に近い色を再現
地図制作における主な作業は、イラストレーター(Adobe illustrator)やフォトショップ(Adobe photoshop)といったソフトウェアを用いたコンピュータ上の作業が中心です。しかし、お客様のご要望に的確にお応えする上では、高度な印刷技術が欠かせません。こちらでは、弊社の地図印刷時の際の「印刷色」についてご紹介します。
「印刷では再現できない色」に対応する「特色」
一般的な印刷で使用されるCMYK(C=シアン・M=マゼンタ・Y=イエロー・K=キー・プレート)の4色をプロセスカラーといいますが、人の目で認識できるすべての色をこの4色だけで再現できるわけではありません。プロセスカラーで再現できない色を印刷物に使用したい場合は、特別に調合したインクが必要になります。それが「特色」です。
弊社は、印刷では再現できない色を表現するために用いられるインク「特色(スポットカラー)」を自社で練ることができます。また、通常のAMスクリーン印刷だけでなく、FMスクリーン印刷やスブリマスクリーン印刷にも対応。限りなく特色に近い色を、CMYKの4色を用いて表現することもできます。
スクリーン印刷とは
スクリーン印刷とは、印刷に不要な箇所を固めたスクリーン(小さな穴が無数にあいた版)にインクを乗せ、こすることで転写する印刷技術です。インクを乗せた反対の面に、スクリーンの目を通ってインクが透過するため、文字や画像を転写できます。
もともとは絹を用いていたことから、シルクスクリーン印刷と呼ばれていました。現在ではナイロンやテトロンといった繊維や、ステンレスの針金で織ったスクリーンが利用されています。紙だけでなくガラスやプラスチック、金属など、ほとんどの素材に印刷可能。平面だけでなく、曲面にも美しい印刷を施すことができます。
科学技術の発展によってスクリーン印刷は大きな進化を遂げており、さまざまな手法が開発されて、地図の印刷にも役立てられています。
FMスクリーンのFMは、「Frequency Modulation(周波数変調)」の頭文字。20ミクロンという微細なドットの集合で鮮やかさや質感を出しながら、ドットを不規則に配置することでディティールまでクリアな再現を可能にするスクリーン印刷の一種です。モアレ(※)の問題も解決しています。
※モアレ……印刷物や画像の電子データにおいて規則正しい模様を表現する際、画素が互いに干渉してあらわれる縞模様。干渉縞ともいう。
FMスクリーン印刷は豊かな表現力を必要とされるパンフレットや写真集などの印刷で利用されており、精度が求められる地図の印刷にも適しています。従来の環境を活用しながら安定した印刷ができるので、印刷料金も抑えることができる、優れた印刷技術です。
スブリマスクリーン印刷は、AMスクリーン印刷とFMスクリーン印刷を融合して生まれた印刷の手法です。中間部は従来のAMスクリーン印刷で表現し、ハイライト部とシャドウ部はAMスクリーン印刷とFMスクリーン印刷の技術を応用。ドットの間隔の細かさをあらわす線数が高い場合も、1~99%の諧調を正確に表現できます。
AMスクリーン印刷は、等間隔で並んだドットの大きさを変えることで色を表現する印刷技術です。安定性が高くて扱いやすく、長年にわたってさまざまな印刷に利用されてきました。
欠点は、FMスクリーン印刷と異なりドットの間隔が均一なのでモアレが発生しやすいこと。色の諧調が急激に変化する、トーンジャンプなどを起こす可能性もあります。ただ、凹凸のある面への印刷は、FMスクリーン印刷よりも安定した仕上がりが期待できます。